英作文の基本: 文は必ず前の文を受ける

文章というのは、直前の文を受けて話を進めていくものです。これは日本語でも正しいのですが、英語の場合はそのようにしなければ文章として成立しないように文法ができています。そのため、英作文をする場合はこの規則を守らなければ、不自然で格好の悪い文章になってしまいます。英語は論理的だとしばしば言われますが、話を順に進めていくことを論理的というのであれば、英語は論理的にしか語れないようにできています。

私はこの事実を、杉原厚吉による 『理科系のための英文作法――文章をなめらかにつなぐ四つの法則』 という本で知りました。この本は有用性が高く、形式的でかっちりしたものが好きな人には薦めます。

杉原の本には以下のように述べられています:

文章の中の一つ一つの文は、それ以前の部分で呈示された情報に新しい情報の断片をつけ加え、それによって少し増えた情報の全体を、さらに次の部分へ送るという機能をもつ。(中略) 文章の中の各文は、古い情報を引き継ぐ部分と、新しい情報をつけ加える部分からなる。このとき、古い情報を引き継ぐ部分が早く現れる文ほど読みやすい。

そして、英語には古い情報を引き継ぐための部品が言語組み込みで用意されています。例えば、

  • 定冠詞 (the)
  • 指示形容詞 (this, that)
  • 代名詞 (this, that, it)
  • 関係代名詞 (which, that)

などです。これらを駆使して情報をつけ足しつけ足ししていきながら話を展開していくのが、英語の文章の基本的な構成になります。

日本語には、このような古い情報を引き継ぐための文法は貧弱です。これ・それ・あれ、この・その・あの、といった 「こそあど言葉」 ぐらいしか、相当するものは存在しません。また、こそあど言葉の こX・あX・そX が the, it, that, which などと直接対応するわけでもありません。そのため、日本語の発想で英文を書いても、前の文を受けて話を進めていくことがきれいにできず、ダサイ英文になってしまいます。

この点は、英語と日本語で思考法からして異なります。外国語を覚えることは、全く別の思考法を身に付けるということです。前述の情報を受けて、新たな情報をつけ加えていくというのが、英語的思考法の特徴の一つです。この思考法を、今みたいに言語化するまでもなく、感覚として身に付けることができれば、英語力は一段高いステージに登るのでしょう。